Webマーケティングに関わっていると、「ターゲットの悩み」という言葉が必ず飛び交います。これがバシッと理解できれば、訴求力が高く、かつ芯を捉えたサイトが作れますが、意外と悩みを捉えきれないディレクターも多いです。自分もそんな一人でした。
そんな中、試行錯誤の末に編み出したフレームワークが「P・W・W・H・N」というものです。これは、「悩み」という言葉が指す意味を5つ(Ploblem(問題)・Worry(心配)・Want(欲求)・Hardle(障壁)・Needs(ニーズ))に分類し、情報を整理整頓しながら悩みを理解しようというものです。このフレームワークを編み出してからは、ユーザーの悩みを理解するのがかなり楽になりました。もしwebディレクター1年目の自分に何かを教えるなら、教えたいことのベスト3には絶対に入るほどの便利フレームワークです。
「悩みを捉えるのが苦手だ」という初心者ディレクターは、ぜひこのフレームワークを使って、悩みを体系化してみてください。きっと今までよりも数倍情報整理が楽になり、かつ正確にユーザーの悩みを理解できるようになるはずです。
もくじ
ターゲットの悩みは「P・W・W・H・N」の5つに分類できる
そもそも「ターゲットの悩み」とは一体何を指しているのか、しっかりと理解するにはここから始めなければなりません。
自分が考えた「ターゲットの悩み」は、以下の5つに分類することができました。
この頭文字を組み合わせたのが「P・W・W・H・N」です。このフレームワークを使えば一瞬で情報の整理整頓ができ、サイトやLPにおいてどんな訴求をすればいいのかを体系的に理解することができます。
「ターゲットの悩み」を理解できない人は、情報の整理整頓も苦手な人が結構多いです。情報をカテゴライズできないと、頭の中も整理されず、「どの情報をどう使えば良いのかわからない」という状態に陥ってしまいます。しかし、このフレームワークを使うことで情報の整理がやりやすくなり、結果としてアウトプットの質を高めることもできるでしょう。
では、具体的にどのように当てはめていくのか、例として「歯のマウスピース矯正」のLPを作る工程で考えてみましょう。
Ploblem(問題)
まずは、悩みの根源、つまり「ターゲットがどんな状態に置かれているのか」「ターゲットに何が起きているのか」をしっかりと捉えておく必要があります。なので、考えうる問題はすべて洗い出してください。ここの網羅性が高いほど、全体のリサーチの質も高まります。
この際、問題の主従関係を意識してみるのがコツです。例えば、歯科矯正を考えている人の根源には「歯並びが悪い」という絶対的な悩みがあります。これが「主」です。逆に「従」は、「笑顔に自信がない」「写真写りが気になる」「歯磨きがしづらい」…など、個人的な悩みのほうです。言い換えれば、問題の主従関係はロジックツリーの状態になっていれば問題ありません。
・歯並びが悪い ←誰にでも当てはまるような絶対的な悩み(主)
∟見た目に自信がない←主の悩みから派生する悩み、個人差あり(従)
∟笑顔に自信がない
∟写真写りに自信がない
∟他人の目が気になる
∟歯磨きがしづらい
∟口内トラブルになりやすい(虫歯・口臭など)
∟噛み合わせが悪い
∟滑舌が悪い
Worry(心配)
次は「問題が起きている状態を放っておくとどうなるのか」、つまりリスクやデメリットを洗い出します。この部分は、サイトで煽るような訴求をする時の材料にもなりますね。問題を抱えている当事者は、それを放っておくリスクはどうしても気になってしまいます。それを回避するために商品購入やサービスを申し込むのですから、こうしたリスクやデメリットもしっかり理解しておきましょう。特段リスクの大きな項目、緊急性の高い項目はサイトでどんどん訴求できる点です。
また、洗い出しの際は上で挙げた「Ploblem(問題)」との関連付けて洗い出すことを意識しましょう。
・異性にモテなくなりそう
・仕事に影響ががでそう
・虫歯になりやすくなりそう
・口臭の原因となりそう
want(欲望)
次は「こうなりたい」「こうしたい」という欲望を洗い出します。もちろん、「Ploblem(問題)」と「worry(心配)」と関連付けて洗い出すようにしましょう。
ここでのコツは、「なぜこの商品(サービス)を使いたいと思うのか」という点を意識することです。そうすることで、これからマーケティングをしようとしているサービスへの理解がより深まります。
・キレイな歯並びを手に入れたい
実はここまででひとつのソリューション(解決策)をターゲットに訴求することができます。それが売り込みたい「商品」や「サービス」になるわけです。しかし、ターゲットはそれだけでは商品やサービスを買ってはくれません。なぜなら、そこに至るまでのハードル(障壁)がいくつかあるからです。
それが次に説明する「Hardle(障壁)」となります。
Hardle(障壁)
今度は商品やサービスを使うまでにハードルとなることを洗い出しましょう。実際、「こういうことがあるから利用を踏み切れない」という人はかなり多いです。そこの原因を追求していくわけですから、マーケティング的にはかなり重要な作業となります。実際に利用者の気持ちになってみて商品やサービスを考えてみましょう。
ここで洗い出したハードルは、サイトでできるだけ払拭してあげるような情報を盛り込みましょう。例えば「費用」がハードルになっているのなら、「初回無料相談」「返金制度」などです。クリティカルな障壁は見出しレベルで、細かい障壁は「Q&A」などで扱うのも手です。ひとつひとつの原因を潰していくことで、サイトのCV率(コンバージョン率)も上がっていくでしょう。
・費用が高い(数十万円はする)
・装置が痛そう
・見た目が悪そう
・金属アレルギーが心配
・生活に支障がありそう
Needs(期待)
最後にNeeds(期待)です。ここは、上の「Hardle(障壁)」を受け、「こんな商品があったらいいのに」を探ってくところです。単にハードルをクリアするような商品を考えていくだけなので、時間はかかりません。ポンポンと考えていきましょう。
・安くできる商品があればいいのに。
・痛くない矯正器具があればいいのに。
・見た目悪くない(目立たない)器具があればいいのに。
・金属製でない矯正器具があればいいのに。
・生活に支障が出ない矯正器具があればいいのに。
ちなみに、マーケティングの父コトラーは、マーケティングを「ニーズを満たして売り上げを上げること」と定義しています。ここまでの一連の動きでマーケティングの真髄である「ニーズ」にたどり着くことができるので、マーケティング的にも正しい動きとなっています。
ターゲットの悩みをインプット・リサーチする際のコツは?
上のフレームワークは悩みの分析にかなりの効果を発揮しますが、リサーチ方法が間違っていたり、足りなかったりすると効果は半減していしまいます。そこで、個人的に悩みのリサーチ時に行う動きを以下にまとめてみました。
基本的には以下4つは欠かさず行なっています。
- 競合サイトのチェック
- youtubeで実際の利用者の情報収集
- twitterでの検索
- 「●● あるある」で検索
競合のサイトをチェックする
競合のサイトチェックは当たり前ですね。何が良いかというと、ライバルがすでに研究した結果がそこに盛り込まれていることです。いくつかのサイトを見て共通項があれば、それは絶対有効な訴求方法なので、それは積極的に真似するようにしてください。
この視点は特に重要で、特にwebマーケティングのような決まった正解がない世界では、競合の動向はひとつの指針となります。具体的には「帰納法」と呼ばれる動きなのですが、いくつかのデータの共通項から仮説を導き出すという動きがディレクターには求められますし、また、周りを納得させる際にも役立ちます。競合チェックは漠然と行わず、広く俯瞰した視点から業界の実態を捉える気持ちで行いましょう。
youtubeで実際の利用者の情報を得る
最近は、たくさんのユーザーがyoutubeにコンテンツを投入しています。特に「〜を使ってみた」や「体験談」などの感想をまとめた動画は、実際の利用者の声として情報収集に役立ちます。検索ではなかなか表面的なことしか出てこなかったり、また最近は健康系のクエリは一般人のサイトはひっかからなくなってきていますから、こうしたところで情報収集するのはとても有益です。
SNSで検索してみる
twitterやインスタグラム等のSNSも生の声を得るには欠かせないツールです。悩みなどはここに投下されることも多く、リサーチする際の情報源となります。
「●● あるある」で検索してみる
「●● あるある」で検索するのも、生の声を集める際には有効ですね。自虐的なネタも多いですが、芯を食っている情報も多いです。
まとめ
以上、ターゲットの悩みを理解する際に役立つ「P・W・W・H・N」のお話でした。こうしたフレームワークを使うことで頭の中が整理され、説明もかなりロジカルになるはずです。そうなると周囲の納得感も変わってきますし、スムーズに仕事がいくようになります。今後機会があれば、ぜひ今回紹介したフレームワークを試し、仕事の効率化に役立ててみてください。
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